転職して、1年経ちました。
ということで「いつか記事に書く」と言い続けた事を書こうと思います。
SREを「エンジニア」をやめて、何故事業企画になったのかという話。
SRE、DBREの事業貢献とは
SRE、DBREとして事業会社で働く中で、何度かこの問いにぶつかることがありました。
その可観測化に、その可用性向上に、その信頼性向上は、事業にとってどのような貢献をされているのか説明しろ。
例えばEKSのバージョンアップ。年に一度は実施しなければいけないこの作業の為に、担当してくれていたSREメンバーはUPDATE内容を読み込み、マニュフェストを見直し、システム影響を考慮したバージョンアップ方法を検討し、それらを検証し…等、相当なタスクに追われることになります。傍から見ていてもそれは大変な作業で、間違いなく評価されるべきだと思います。
他にも情シス部門の皆さん、NWを支えてくれていたエンジニア…沢山、溢れんばかりの事業貢献をしてくれていた、エンジニアのみんながいました。
ただそれを経営陣にぶつけたところで「マイナスをゼロにした、ね。でもプラスを産んでいないじゃない。評価できないね。それよりコスト下げられないの?いくら円安とはいえ、年々上がっているクラウド費用をどうにかしてよ。」と突っ返される訳です。
これと似たような経験をされたマネジメント層の皆さん、いらっしゃいませんか。
何も言い返せなかった私は悔しくて、くやしくて仕方なかったです。担当者がどれほど苦労して、システムを通じて事業のことを考えているのか、知っていたからこそ悔しかった。
でも経営陣が言うことにも、もっともでした。事業会社のエンジニアの癖に、このEKSクラスタが生み出す価値を、私は曖昧にしか知りません。このシステムの、この機能を実現している、しか。
で?じゃあこの機能はこの事業、このサービスにおいてどのような価値を提供しているの?そのROIは?
例えばROIが定量的に分かれば、それはEKSである必要もなかった、EC2で良かったかもしれない。他にもっと価値を生み出している、顧客のユーザビリティを提供している重要な機能があれば、それこそEKSであるべきだったかもしれない。
事業企画が提示した機能を、サービスを実現するだけのエンジニア。それが私がやりたかったことなんだろうか。
エンジニアだからこそできる事業企画
この疑問を抱いた私が次にとるべきアクションは、事業企画との関係性を築いて定量的なROIのダッシュボードを作ることだったのかもしれません。多分、そうしているSREは沢山いるのでしょう。
ただそれをするには、目的や技術について説明する必要があります。ですが対面する事業企画は「早くプロダクトを作らなきゃ、早く実現しなきゃ」で必死です。もしかしたら現場レイヤではなく課長、部長レイヤに話をすれば違ったかもしれない。でも私には、その説得をするには大きな課題がありました。
事業企画がどんな仕事をしているのか、プロダクト担当が何をしているのか、上辺しか知らない。
何も知らない私の話を、自身の業務や辛さを知りもしないエンジニアの話なんて、耳も傾けてもらえないだろう。
そのために企画部門への異動を願い出たものの…それは叶わぬ夢だと分かっていました。
会社の基幹DBを、データを管理するDBREのマネージャークラスを別部門に異動することを許すことなんて、そう簡単にできない。
そして、年齢という壁がありました。新しいことにチャレンジするにはもう、私には時間がない。会社に何年も言い続ける時間はない。
だったら、転職しよう。これが最後かどうかは分からないけれど、多分、ラストチャンスだ。
どうせなら、もっと大企業。もっとややこしくて、組織が多くて動きづらくて、がんじがらめになっているところ。
そこで、リスクが高かったり技術的な難易度が高いことをしているのに、評価されないエンジニア。
どれだけ事業に貢献しているのか、素晴らしいことをしているのかを伝えることができる、事業企画になりたい。
そして彼らが不遇の立場にいるのであれば、例えば事業企画が判断が遅くて納期が短いなんて、そんなつらい立場に立たされないようにしたい。
私が不甲斐ないゆえに、評価を上げることが出来なかった。
クラウドもIaCも全然知らない私に、基礎から丁寧に優しく教えてくれた。SREが何なのか教えてくれた。
大好きなエンジニアのみんなのような、素晴らしいエンジニアたちが、評価されるように。
この一年間と今後
とはいえ自分に事業企画としての知識も経験もゼロだったので、まず一年はその会社の社風や環境に慣れるために、最初の半年か一年は経験のあるPMをやって、その後企画職に…と面接で伝えたのに。
入ったら開口一番、「まぁそんな一年後とか言わないで、いますぐやろ☆彡」とか言われ、即、事業企画になるっていうもうこの、現職ぅぅぅぅぅううううううう笑
ということで、一年間は勉強、頭の切り替えをするのに大変でした。
文化や人、組織を覚えることも大変でしたし、自身の視野の狭さ、事業レベルでの俯瞰した考えが出来ていない為、考慮が足りていない点が多く、ご指摘を受けることも多々。この辺りはPMをやっていた前々職の時の方が出来ていたな…なんて、情けない思いをすることも。
約一年、まだまだ未熟者ではありますが、ある程度期待していただけるような、自走して動けるようになってきました。
やっぱり厄介ごとに巻き込まれていき「今度は静かに生きていきたい」はやっぱり無理なのか…このトラブル引き寄せる体質、どうにかならないの…なんて呆然としている日々ですが。
ようやく、目的の一つだったことを一つ、実現できそうです。
守るからね、エンジニアの皆さん。
システムを作ることを、改修することを、運用保守することを。それがいかに困難で、苦労をして、人生の時間をかけて、どれだけ貢献してくれているのか。私はちゃんと知ってるから。
今度こそ、エンジニアが評価されるように。幸せになれるように。
まだまだ成長するよう、頑張ってまいります!!!